9月1日(日)

今日は午前中、家で東京ヴォードヴィルショー40周年公演『田茂神家の一族』の映像を見た。

 

三谷幸喜作、山田和也演出の今作品は劇団の40周年記念公園の第四弾として2017年に紀伊国屋ホールで上演されたものだ。

 

村長選挙での滑稽な様子が描かれているが、日本の天下りや重鎮のためにポストを作るところなどは特に興味深い。佐藤B作の演技はもちろん、客演の伊東四朗角野卓造が非常にいい味を出していて、当て書きの秀悦さが光った作品である。

 

 

 

午後は、東京芸術劇場シアターイーストにて藤田貴大『めにみえないみみにしたい』を観劇した。子供も楽しめる作品として、シャボン玉や布などの小道具や、じゃんけん、楽器、トランプなどを使った演出で半体験型の作品である。

 

ただ、大人も楽しめるというか、非常に考えさせられる作品で、戦争や孤独など、一個人の力ではどうしようもない不可抗力が、全体を暗い雰囲気にした。

そのどうしようもない人間の社会を「森」という謎に包まれ、物語では迷い込むことがお決まりになっている空間で様々な体験を母親と子供がする。

森で、目に見ることのできない、耳にしかすることのできない存在を感じ、「森」の中では自分ではどうしようもない大きな存在は、決して恐怖を感じるだけでなく、崇高で感じることのできるものなのだと考えさせられる。

 

藤田らしい母性もテーマにしており、ユニコーンなどのモチーフも多様でアングラの空気を感じることもできる。

 

森で様々体験する出来事は、法則性がありそうだが、簡易に理解できるものではない。なかなか難解で、素晴らしい作品であった。

 

 

その他、今日はハヤカワ演劇文庫アーサー・ミラー『転落の後に』の前半を読む。

こちらもモチーフをちりばめ、リアリズムとは呼べない劇作だが、ナチスマッカーシズムへの強い批判を感じる。