『墓場、女子高生』

別冊、「根本宗子」第7号、福原充則作、根本宗子演出作品。根本にとっては初めて自分以外の作品を演出するとのこと。

 

自殺した女子高生の死後の世界と、残された友人たちの世界が舞台となる作品で、想像上の生き物である幽霊は、現世で誰かから思われていないと存在し得ないという設定である。死後の世界を演じる根本含めた3人は非常にチャーミングな役所であり、とても丁度良い演技。これはほかの役者、演出についても言えるが、根本宗子がこんなにも細かくリアルな演技をし、指示できるとは思っていなく、とてもそのレベルに驚いた。

 

現世で生きている女子高生たちは、合唱部という設定で、合唱部に遅れて入部した者、友達の彼氏に告白しようとする者、死んだ友人を蘇生しようとする者、ポテチを箸で食べる者など個性的な人間の集団である。合唱部という設定のため、自殺前にみなで歌うシーン、入部を誘うシーンなとで歌われる曲は根本はじめみな声量がありビックリする。

 

死んだ友人が生き返るシーンでは、急に照明が変わり、走れトロイカが歌われ、ダンスもあり、とてもメリハリのあるミュージカル風シーンであり好みであった。また、女子高生姿のダンサーを起用し、おそらく忘れ去られてしまった幽霊、または自殺した女子高生の分身が演じられており、いい具合に謎である。

みな、友人が死んだ理由を自分のせいにしたいところは、現世のエゴが描かれており、そこからの死んだ理由を各々が連想ゲーム風に発表するところは笑いありの感動シーンである。

 

ラストは、自殺した友人に言えなかった別れの言葉を先に、別の友人に言っておくというシーンで終わる。

ラスト近くは3回ほど暗転があり、綺麗に典型的に収まってしまったところはあるがとても良い作品であった。