9月7日(土)

今日はこまつ座『日の浦姫物語』(サザンシアター)を観に行った。

 

オイディプス王を日本の鎌倉時代に翻案した構成で、井上ひさし作品には珍しい救いようのないストーリーだった。ただその分、演出や言葉遊びでかなり笑えるように仕上げており、特にラスト近くの魚名が15年ぶりに会話をするシーンでは、井上ひさしの昔の作品の特徴である、言葉の音で遊ぶ場面が挿入されておりこのシーンを観れただけでもこまつ座を見に行けてよかったなと感じた。

「日の浦姫物語」を物語る夫婦が、枠として用意され、それがあったから、近親相姦モノを普遍的?なものに昇華しようと努力したのだと感じる。

 

役者はみんな素晴らしくて、朝海ひかる新国立劇場『かもめ』のアルカージナとは正反対の清純な女性を年齢ごとに演じ分けられており、さすがだと感じた。

平埜生成は生の演技を始めてみたが、声も通るし、他の役者との協調もよくいい役者だと感じる。

最後は、井上らしい大円団で、なかなかのストーリーだがまあ救われたのか??のようなオチだった。

 

 

家に帰り、流山児★事務所『ザ・寺山』の映像を見た。

正直、難しくて、もしかすると寺山修司作品にもっと触れていれば楽しめたのかなと思う。たまに自分でも聞いたことのある寺山の言葉があったため、たまに「あーそう使うのか」と感じる時もあったが、それが「なるほど」「うまい」と思うには至ることができなかった。

ただ役者の方言、言葉の使い方が面白かったし、身体の使い方がなかなかアングラで楽しめた。

また、島次郎の美術が良かった。白を基調とし、中央に列車の線路があることで、何もない空間(やはり青森がモデル?)を表現する一方で、寺山作品の特徴でもあるモチーフを散りばめる態度が舞台上の小道具の配置や布の使い方に現れており興味深い。特にやはり布の使い方が面白くて、それがサーカスのテントや住まい、白紙の紙のようにも見え、島次郎が素材を大切にする美術家ということを直接知ることができた。

物語は難しかったが、演出が工夫されていて表面的には楽しめた。

次は戯曲を読み込んでみようと思う。

 

ちなみに今日は、野田地図『Q』の一般発売日。

運良く、サイドシートU25のチケットを購入できた。